| 特徴  | 
                
                
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                  完全甘柿。平たい形、縦に走った4本の溝とコリコリした食感が特徴的。現在栽培されているものは、種がほとんど入っていませんから、非常に食べやすくなりました。 
次郎柿の長所は肉質のち密さと日持ちのよさです。 
全国生産量では富有柿に及びませんが、富有よりも大型であり、果肉はしっかりとして歯ごたえがあるので、「甘柿の中では次郎が一番美味しい」という人も大勢います。  | 
                
                
                  | 歴史  | 
                
                
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                  1844年、静岡県周智郡原産。この地の森町に住む松本次郎吉氏が、太田川の堤防が決壊した時に、川を流れる柿の木を拾って植えたのが始まりと伝えられています。その木は成長したものの美味しい柿の実をつけず、ほとんど忘れ去られていました。 
ところが!明治30年1月21日、近所に火事があり、この柿の木も燃えてしまったのですが、春になってその根株から苗が発芽し、数年後に再び実をつけました。食べてみたところ味は最高。柿は松本次郎吉氏の名前を採って「次郎柿」と名付けられ、以後、甘柿の代表格として普及していったのです。 
                  (参考:「果樹農業発達史」農林統計協会)  次郎柿発祥の地・森町では今でも毎年、献上柿として厳選した次郎柿を皇室に納めているそうです。 | 
                
                
                  | 出回り期 | 
                
                
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                  ハウスもので9月中旬から10月中旬、露地もの10月中旬から11月まで出回ります。  | 
                
                
                  | 選び方  | 
                
                
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                  全体的に赤みが濃く、つやとはりがあり、ヘタがイキイキしているものを選びましょう。 
また、ヘタが大きく、実との間にすきまがないものが良いでしょう。すきまのあるものを「ヘタ隙き」といって、ここから水や虫が入り、果肉を劣化させてしまうことがあるからです。  | 
                
                
                  | 食べ方  | 
                
                
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                  柿の切り方  
ヘタの周りを少し大きめに切り取って縦切りにします。柿は花落ち部分が一番甘く、へたの近くが甘みが薄いので、縦切りにしないと甘さにばらつきが出ます。 
                  また、柿の表面に4本の溝がある種類の場合(次郎柿など)は、その溝にそって切り目を入れれば、種を切る事はありません。或いは、ヘタのくぼみの部分から包丁を入れて4つに切っても種には当たりません。  | 
                
                
                  | 栄養と効能  | 
                
                
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                  果物の中では酸味のないのが最大特徴である柿に、実はみかんの2倍もあるビタミンCが含まれており、1個食べると1日に必要なビタミンCをほぼ満たす事が出来ます。 
また、ブドウ糖や果糖、ビタミンB1、B2、カロテンなどの栄養素やミネラルなども含まれ、とても栄養価の高い果物といえます。 
                  高血圧・脳卒中など成人病予防や二日酔いの防止、利尿作用、美肌保持にも効果的です。  
                   
                  ☆栄養の宝庫、柿の葉 
柿の葉には、柿の実の9倍ものビタミンCが含まれています。ポリフェノールも多く、血管を強化する作用や止血作用があるようです。 | 
                
                
                  | 柿の雑学 | 
                
                
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                  ①なぜ柿はしぶい?  
甘柿にしても渋柿にしても、未熟のうちはしぶいものです。これは柿の自己防衛によるもので、鳥や動物などに未成熟のうちに実を取られてしまうのを防ぐためであると考えられます。甘柿の場合は、成熟した後に食べられ、種だけは離れた場所に捨てられて、そこから新しい芽が吹き出す・・・そんな柿の思惑があるようです。 
 
                  ②名前の由来  
柿はなぜ「かき」というか。「赤い実の成る木」という意味の「赤木(あかき)」の最初の「あ」が省略されて「かき」と呼ばれるようになった、「かがやき」又は「あかつき」が短縮されたとする説などいろいろあります。 
 
                  ③ことわざ  
「柿の季節は医者いらず」「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。 
柿を食べると病人が少なくなって、医者は仕事がなくなり青ざめる。それほど柿は栄養価が高いものだという意味です。  
                  ただし、他にも「みかんが黄色くなると医者が青くなる」「柚が色づくと医者が青くなる」という表現もありますから、柿に限らず、秋になると人間は食欲がわいて病気とは無縁になるという広い意味で使う場合もあります。 
                  また、昔は農民が多かったので、「柿が赤くなる⇒収穫のため農民(=大多数の人々)が忙しくなる⇒病気などにかかってはおられない⇒医者が暇になる」という意味で、秋の農家の忙しさを表わしているという説もあります。  
 
                  ④“kaki”は万国共通語 
 
日本で育成された柿は広く海外に伝播していきました。そのため、“kaki”という言葉は万国共通で、正式な学名も「ディオスピロス・カキ」といいます。「ディオスピロス」はギリシャ語で“神から与えられた穀物”という意味が有るそうです。  
 
                  ⑤パーシモン  
“kaki”が国際語であるといっても、英語では“persimmon”が一般的。一昔前のゴルフのウッドが「パーシモン」と呼ばれていたのは、その名の通り柿の木から作られていたからです。ただし、パーシモンはアメリカ柿であり、日本で栽培される柿とは品種が違います。柿の木は非常に固く丈夫であるため、日本でも昔から茶室の道具の材料として重用してきました。 
 
                  ⑥脱渋は柿いじめ? 
                  渋柿のシブの正体はタンニンです。渋柿ではタンニンが水に溶けていて渋く感じさせるので、水に溶けないように変化させることで“渋抜き”をします。 
脱渋の方法はアルコールや炭酸ガスを使う方法が主流ですが、これは言ってみれば柿を半殺しにするという行為です。半殺しにすることによって柿は異常呼吸をするようになり、体内のタンニンを不溶性にするのです。 
干柿は渋柿を何日もかけて干すことによって脱渋をします。もしも高温で一気に水分をなくそうとすると、柿が即死してしまうので渋が抜けません。皮をむいてじわりじわりといじめ殺して渋を抜くことが必要なのです。  
                   
                  柿の歴史  
現在の柿の祖先は、太古の昔より存在していました。日本でも縄文、弥生時代の遺跡から柿の種が出土しています。ただし、当時の柿は今のような大粒ではなく、もっと小型の実をつけていたと考えられています。  
現在我々が食している柿の原木は、1300年程前に中国から伝来したと考えられています。奈良時代には栽培が奨励され、日本中で幅広く作られるようになったようです。16世紀頃には日本の柿がポルトガル人によってヨーロッパに渡りました。また、アメリカに渡ったのは、19世紀中ごろの幕末、ペリー艦隊に乗っていた植物学者が持ち帰ったのが最初です。その後、日本の柿はフランスやスペイン、イタリアなど地中海を中心に広まっていき、現在世界で食べられている柿の大元になりました。その後無数の交配を繰り返し、明治時代になって、その中でも最も優れた品種が認識されるようになります。新潟の八珍(平核無)、岐阜の水柿(富有)、静岡の次郎などが明らかにされたのもこの頃で、果樹園としての本格的な栽培が行われたのは昭和初期になってからのようです。 
                   
                  柿の種類  
柿は甘柿が400以上、渋柿が700以上、合計1100種類以上あるといわれています。 
もう少し細かく分けると、次の4パターンに区分けすることができます。 
 
①完全甘柿・・・木で果実が堅いうちに渋が抜ける。 
②不完全甘柿・・種がない間は渋く、種が少ない時は部分的に渋が残る。 
③不完全渋柿・・同上。ただし渋抜けの程度は不完全甘柿よりも低い。 
④完全渋柿・・・果実が完熟しても脱渋しない。  
                   
                  ☆甘柿の仲間  
                  《富有(ふゆう)》  詳しくは富有柿のページをご覧下さい。  
 完全甘柿。冷蔵貯蔵技術の進歩から、今では10月から翌年4月頃まで長期にわたって出回っています。福岡・岐阜・奈良県が生産の中心。 
                  岐阜県本巣郡の原産の甘柿を代表する品種。明治の頃は(居倉御所)の名で呼ばれていましたが、古典『礼設』中にある言葉「富有四海之内」を引用して「富有」と命名しました。この柿を作って農家に富が有るようにとの願いが込められています。   
                   
                  《松本早生(まつもとわせ)》  
 完全甘柿。 
                  京都府綾部市の松本氏の富有園で、1本が早熟であったことで発見されました。昭和27年に登録された品種です。形質は富有柿とほとんど変わりませんが富有柿よりちょっと小さめで果実が扁平気味。富有柿より2週間ほど早く出荷できます。  
                   
                  《伊豆(いず)》  
完全甘柿。 
富有とA-4の交配種。農水省果樹試験場で育成された品種です。 
富有より小さく果形はやや扁平。果皮は橙朱色で、なめらかで光沢があります。肉質は緻密でやわらかく、果汁も豊富で渋残りもなく、食味も良好ですが、果肉がやわらかく日持ちはあまりよくありません。 
                  出回り期は9月中旬~10月中旬。  
                   
                  《西村早生(にしむらわせ)》  
不完全甘柿で、種が少ないと渋みが残ることがあります。9月中旬~10月上旬にかけて熟する早生品種です。 
                  滋賀県大津市の西村弥蔵氏の生垣で発見された偶発実生で、西村氏の名をとって名づけられました。   
                   
                  《筆柿(ふでがき)》   詳しくは筆柿のページをご覧下さい。  
                  不完全甘柿。形が文字通り筆先に似ているのが印象的。愛知県幸田町周辺の特産。小ぶりながら甘くコリコリとした食感で人気があります。  
                   
                   
                  ☆渋柿の仲間  
                  《平核無(ひらたねなし)》  詳しくは平核無柿のページをご覧下さい。  
  不完全渋柿。 
                  新潟県新津市の原産で、山形県では庄内柿、新潟県では八珍、佐渡島ではおけさ柿など、産地によって特有の呼称があります。柿全体の中では富有柿に次いで生産量が多く、和歌山県、山形県、新潟県が主力生産地です。   
                   
                  《刀根早生(とねわせ)》  
不完全渋柿。 
                  奈良県天理市の刀根淑民氏によって発見された、平核無より2週間程度早い9月中旬~10月中旬にかけて出回る品種。平均的に平核無よりやや大きめ。渋が少なく脱渋しやすく、早生種のわりには日持ちも良好です。和歌山県、奈良県、新潟県が主力。   
                   
                  《甲州百目(こうしゅうひゃくめ)》   
  不完全渋柿。 
                  古くから栽培されていた品種で、別名「日本柿」「蜂屋」。美しい釣鐘形をしており、山梨・福島・宮城などで多く生産されています。柿色が美しい、釣り鐘形をした大玉で、渋抜きして出荷されるほか、あんぽ柿や枯露柿としても人気があります。   
                   
                  《紋平柿(もんべいがき)》  詳しくは紋平柿のページをご覧下さい。  
  不完全渋柿。石川県特産。非常に大型でまん丸。果頂部はとがっていて厚みがあります。弾力のあるソフトな歯ざわりが持ち味。 
                  石川県高松町に、家号が「紋平さ」と呼ばれる家が有り、その家の庭にかつて樹齢100年をはるかに超える柿の木があり、その呼び名にちなんで「紋平柿」といわれるようになりました。   
                   
                  《西条(さいじょう)》  
  完全渋柿。 
細長く、くっきりと4条の溝があるのが特徴。 
“さいじょう”には「西条」「最上」「才女」などいろいろな漢字が当てられています。広島県賀茂郡西村が原産地と考えられますが、一説には広島県の西条町に荷が集まってきたのでこの名が付いたそうです。 
                  歴史は古く、戦国時代に毛利氏が中国地方を支配する過程で干し柿にして戦場で携帯食として利用したと伝わっています。この影響で、西条柿は中国地方を中心に栽培されています。   
                   
                  《愛宕柿(あたごがき)》  
完全渋柿。 
愛媛県周桑郡、東予市、丹原町、小松町特産。晩生種で12月から翌年2月まで出回ります。 
                  名前のいわれは、京都の貴船神社を小松町に迎えたとき、お供えした京都愛宕産の柿の種から実生したからとか。 
                   
                  《最勝(さいしょう)》  
                  完全渋柿。石川県能登の自生品種。石川県の志賀町で特に栽培が盛んで、多くは干し柿にして能登名産「ころ柿」として出荷されます。 
                   
                  《三社(さんじゃ)》  
完全渋柿。富山県特産の柿で、特に福光町、城端町などで生産されています。この柿を使って作られた干し柿が富山名産の「あんぽ柿」です。 |