品種 |
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東アジアの中国、インドが原産といわれ、日本には奈良時代に中国から渡来し各地に広まったと推定されます。当時の在来種は収穫量が少なく、現在市場に出回るほとんどの蓮根が明治以降に中国から導入された中国種です。長い間、ハスは観賞用でしたが、本格的に食用とされ始めたのは江戸時代になってからのようです。
在来種
スラリと細長く、幾分茶色がかった肌色をしていて、関東、東海地方で栽培されています。地下茎が深く、収穫量が少ないため、あまり流通はしていません。肉質は粘質でやわらかく、切り口から糸を引くのが特徴です。
備中種
明治時代初期に中国から導入され、四国、九州など西日本地方を中心に栽培されています。
中国種
明治時代初期に中国から導入された蓮根で、地下茎が浅く伸び、ふっくらと太いので掘り出しやすく病気に強いため、在来種に代わって主流になりました。シャキッとした歯ごたえがあり、肉厚なのが特徴です。生産量の多い茨城県では地下茎の肥大がよい中国種が栽培されています。また金沢の加賀蓮根は支那バスと呼ばれる中国品種を改良したものです。
新蓮根
ハウス、トンネル栽培で、早期収獲し、6月下旬頃から出荷されるものを市場では「新れんこん」と呼んでいます。やわらかく味はあっさりしており、生長途中なので実が充実せず、水分を多く含んでいます。そのためあまり日持ちはしません。冬になると粘りが出て甘みが増します。
加賀蓮根
加賀野菜に認定されている加賀蓮根は、でんぷん質が多く粘りが強いのが特徴で、すりおろしてはす蒸しにすると、モチッとした食感があリます。これは金沢産の蓮根の繊維質が緻密だからで、他県のものではこの粘りはなかなかでません。
また、太くて節と節の間が短く、肉厚なことや、他県のものと比べて穴が小さいことも特徴です。それだけ中身がしまっているということで、同じ大きさのものでも石川産の方がずっしりと重いです。
詳しくは加賀れんこんのページへ。 |
選び方 |
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新鮮なものは自然な肌色をしています。ゆがみのない円筒形のもので、しっとりとしたつややかなものを選びましょう。切って販売されているものは切り口が変色していないものを選びましょう。 |
保存法 |
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丸ごと保存する場合は、濡らした新聞紙に包み、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫で保存すれば4~5日は持ちます。切ってしまったれんこんは密閉容器に入れ、れんこんが全部つかるようにして水を張って冷蔵庫で保存します。こうすると変色は防げますが、ビタミンCが流出するのでせいぜい半日~1日で使い切るようにしましょう。半分ほど残った場合は、切り口をラップでピタッと覆っておくと変色は防げますが、皮をむいてしまったものは、水につけておくのがよいでしょう。 |
栄養価 |
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糖質、澱粉、食物繊維、ビタミンC、カリウム、鉄を含みます。
れんこんをすりおろした絞り汁を飲むと胃潰瘍や十二指腸潰瘍に効果があるといわれます。アクの成分であるタンニンやビタミンCがコレステロールを減らす働きをします。 |
豆知識 |
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れんこんの名前
れんこんは漢字で「蓮根」と書きますが、実際は蓮(はす)の根ではなく、地下茎(ちかけい)という茎がふくらんだものです。地下茎とは土の中に伸びる茎のことで、ジャガイモも地下茎が肥大したものです。
れんこんの穴
れんこんの穴は通気孔の役割を果たし、茎や根に外の空気を送り込んでいます。深い泥の中に沈んでいるれんこんは、いつも空気に触れることができないために通り道をつくっています。同様に地上の葉や葉柄や花柄にも穴があり、これらが連結していて通気孔となっています。
増え方
れんこん(地下茎)は節ごとに地上には葉を、地中には地下茎を伸ばしながら増加していきます。この地下茎が、先へ先へと枝分かれしながら太くなり、子れんこんができ、さらに孫蓮根ができるため、サイズに差ができるのです。
花
蓮の花は、古代インドでは神がハスから誕生したという神話から、聖なる花、吉祥の象徴とされ、種が多いことから多産、生命、神秘のシンボルにもなっています。ちなみに「蓮(ハス)」と「睡蓮(スイレン)」は花や葉の形がよく似ていますが、睡蓮にはれんこんはできません。 |
レシピ |
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調理のコツ
切り方: れんこんは縦に繊維が入っているため、切り方によって食感が変わってきます。
酢れんこんやサラダ、きんぴらなど、シャキシャキとした食感に仕上げたい場合は、輪切りや半月切りにします。煮物にする場合は乱切りや繊維に沿って縦に切るとホクホク、もっちりとした食感に仕上がります。
アク抜き:
れんこんが黒っぽく変色するのはポリフェノールの一種であるタンニンが酸化するためです。切った後すぐに酢水につけ2~3分置くと色がきれいに仕上がります。長くつけすぎると風味が落ちてしまうので短時間にしましょう。また、煮物にする場合は酢水につけずに、ゆでる際に少量の酢を加えると白く仕上がります。
加熱:
れんこん特有のシャキッとした歯ごたえを残すために加熱時間はなるべく短めにします。
長時間加熱すると歯ごたえがなくなってしまいます。
茹でる:
たっぷりの熱湯に酢を数滴加えた中に入れて、サッと手早くひと茹でします。れんこんが透き通ってきたら、ザルに上げて水気を切れば、サラダや和え物がシャキッと歯切れよく仕上がります。
煮る:
炒めてから煮たり、沸騰した煮汁に加えて煮ることが多く、いずれもあまり長く煮込まないことが基本です。
れんこんの白和え
材料(4人分)
れんこん大1節、木綿豆腐1/2丁、マヨネーズ大さじ4、白いりごま大さじ2、砂糖小さじ1/2、塩少々、酢適量
①れんこんは皮をむいて5~6㎜厚さの輪切りにし、酢少々を落とした水にさらします。
②鍋にたっぷりの湯を沸かし、酢少々を加えます。水気を切った①のれんこんを加えて5~6分湯がき、ザルに上げて水気を切ります。
③木綿豆腐はキッチンペーパーに包んでしばらく置いて水気を切り、ボウルに入れてスプーンなどで細かくつぶします。
④③のボウルにマヨネーズと白ごまの3/4量、砂糖と塩少々を加えてよく混ぜます。なめらかになったら②のれんこんを加えて混ぜ合わせ、器に盛り付けて残りの白ごまをふります。
れんこんの和風ハンバーグ
材料(4人分)
れんこん250g、豚挽き肉100g、ねぎ10cm位、生姜10g、片栗粉・サラダ油適宜
(タレ)しょうゆ・みりん各大さじ4、砂糖・酒各大さじ2、水1/4カップ
①れんこんは皮をむき、少々を粗みじん切りに残りはすりおろす。
②豚挽き肉をボウルに入れ、粘りが出るまで練り、ねぎのみじん切りとおろした生姜を混ぜ合わせる。
③①のすりおろしたれんこんを鍋に入れ、火にかけて少し粘りが出てまとまるまで混ぜる。
④②と③を混ぜ、①の粗みじんのれんこんを合わせて4等分し、ハンバーグ型にして片栗粉を薄くまぶす。
⑤フライパンにサラダ油を入れて④を両面こんがりと焼く。一度油を拭き取ってからタレの材料を入れて蓋をし、火が通るまで蒸し焼きにした後、照りよく煮絡める。
⑥⑤を皿に盛り、茹でておいたシメジやブロッコリーを残ったタレで煮絡め、付け合せる。
れんこんチップス
材料(4人分)
れんこん1節、揚げ油適量、塩味少々、パセリ
①れんこんは皮をむき、スライサーで薄く切り、半日ほど水にさらす。
②①の水気を取り、160℃の油に入れる。泡が少なくなってきたら、温度をあげてカリッときつね色になるまで揚げ、バットに広げて油を切る。
③全体に味塩をふり、器に盛ってパセリを添える。 |