歴史 |
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美しい花を咲かせる百合は世界中で愛され種類も豊富ですが、その球根を食用としているのは日本と中国ぐらいと言われています。
日本でゆりねが食用とされるようになったのは、江戸時代のこと。北海道では、大正時代に多度志村(たどしむら)の和田伊三郎(わだいさぶろう)という人物が小鬼ゆりから選んで栽培に取り組んだのが始まりとされています。
ゆりねとして球根(鱗茎)が食用にされているゆりは、小鬼ゆりが主体、ほかに鬼ゆり、山ゆりなどがあります。
かつては野生のものが流通していましたが、現在はほとんどが栽培品です。国内では北海道が主産地で98%を占めています。 |
栽培 |
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ゆりねの栽培は、種球から始めると6年の歳月がかかります。畑に植え付けるまでに3年、畑に植え付けてから更に3年の月日を必要とします。しかも、畑を毎年お引っ越しし、一度植えた畑には最低でも7年は戻ってこれません。
また、畑に植えられてから地中の茎に栄養をゆきわたらせ、ぷっくり太らせるために、花のつぼみを切るなどの手間をかけています。 |
選び方 |
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紫がかった部分はやや苦みがあるので、白いものを選びましょう。また、張りがあり、かたくよく締まったもの。皮が白く乾燥しすぎていないものが良いでしょう。 |
保存法 |
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鱗片を傷つけないよう、新聞紙に包んで冷暗所に。長く保存したい場合は、ビニール袋にゆりねが隠れるくらいのおがくずを入れ、その中に入れておくと1ヵ月ほど保存できます。洗って鱗片をバラバラにした場合はビニール袋か、ラップに包んで冷蔵庫で保存します。水にぬらすと傷みが早いので、早めに使い切るようにしましょう。 |
調理方法 |
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下処理
①汚れやゴミを水で丁寧に洗い流します。
②底の芯のまわりを包丁の先でえぐり取ります。
③外側の鱗片を一枚ずつはがします。
④料理に合わせて、水にさらしたり、下ゆでして使います。
※ 白く仕上げたい場合は、酢を少量入れてゆでるとよいです。
加熱
加熱するとホクホクとして、ほんのりとした甘みがあります。
ゆりねは火の通りが早いため、強火にすると煮崩れするので注意しましょう。ゆでる時は沸騰したお湯に大きな鱗片から順に入れ2~3分ゆでます。
また、レンジ加熱も可能で、様子を見ながら1分ほど加熱し、天地を返して更に加熱します。加熱し過ぎると干からびてしまうので注意してください。 |
栄養価 |
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ゆりねはお正月や茶わん蒸しの具材として食されることが多いですが、もっと普段の食卓で食べたいほど栄養豊富な野菜です。滋養強壮の薬としても利用されてきました。
炭水化物が約3割もあるので、野菜の中では高エネルギー食品で、また糖質を多く含むため高カロリーでもあります。でんぷん質が多く、タンパク質も比較的多く含まれています。糖質と水分の組成がイモ類に似ているため、ホクっとした口当たりになります。
血圧を下げる作用のあるカリウム、整腸作用のある食物繊維が豊富で、加熱によるビタミンCの損失が少ないです。また、葉酸や鉄分など胎児の発育や妊婦さんの健康維持に不可欠な栄養素が豊富に含まれているので、妊娠中の方にもおすすめです。 |
おがくず |
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ゆりねはとってもデリケート。乾燥に弱く傷つきやすいので、強く握ったり、こすったりしただけで傷になったり、変色してしまいます。おがくずは衝撃で傷つくのを防いだり、適度な水分によって乾燥を防ぐ役割を果たしています。そのため、おがくずと一緒に販売されていることが多いです。長期保存の際は、おがくずが乾燥しないよう、霧吹きなどで適度に水分を補充すると良いでしょう。 |
レシピ |
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ゆりねの梅肉和え
① 洗った鱗片を耐熱皿に並べ、1分、一度取り出し天地を返して更に1分加熱します。
(量とレンジにより多少違いがありますので、様子を見ながら)
② 梅干の種を取り、包丁でたたいてボウルに入れ、みりんでのばし、ゆりねと混ぜ合わせれば完成です。
天ぷら・かき揚げ
① 下処理が終わった大きめの鱗片は、1枚ずつ揚げて天ぷらに。
② 小さい鱗片は玉ねぎや三つ葉などお好みの野菜と一緒にかき揚げに。
カレー・シチュー・スープに
いつものカレーやシチュー、スープに入れるだけ。出来上がる直前に入れて弱火で5~6分ほど煮込めば完成です。 |