最近では、トマトの品種改良や栽培方法の多様化によって、糖度の高いものやサイズ、果皮の色までも様々で、数え切れないほど多くの商品が誕生しています。そこで今回は高糖度のトマトを中心に取り上げたいと思います。 |
フルーツトマト(高糖度トマト) |
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大きさに関係なく、糖度が特別に高いものを総称して「高糖度トマト」や「フルーツトマト」と呼びます。「フルーツトマト」は品種名ではなく、主に栽培者または販売者がそのトマトにつける総称です。栽培時に水の量を抑えることで糖度やうまみが貯えられ、フルーツのように甘くて濃厚な味わいになります。通常のトマトが糖度5度前後なのに対し、一般的に8度以上でサイズは普通のトマトよりも小さめの50~120g程度です。大きさに関係ないため、色々な品種のトマトがフルーツトマトとして流通しており、ミディタイプもよく用いられています。
また、トマトは気温に弱く、夏場のように厚いと高糖度用に栽培するのは難しいため、一般的に高糖度トマトの旬は2月~5月いっぱいです。この時期は味的にも品質的にも安定しています。 |
フルーツトマトの一部をご紹介(ブランド) |
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シュガートマト
高知県高岡郡日高村で栽培されています。JAコスモス日高支所ハウス園芸部会に所属するトマト生産農家が作ったもので、品種や肥料・農薬等の生産資材は部会が定めたものを使用。光センサーによる糖度測定を行っており、糖度7度以上あります。平成18年(2006年)にコスモス農業協同組合が商標登録しています。
また、糖度別でシュガートマトを楽しんで頂けるようバリエーションがあります。
シュガートマト08Bianco(ビアンコ)
・・・糖度8度以上。当市場には12月~6月に入荷しています。
シュガートマト10Rosso premium(ロッソプレミアム)
・・・シュガートマトの最高級品で糖度10度以上。
栽培が難しく、出荷が安定していないため、現在は入荷の見通しはたっていません。
ブリックスナイン
ブリックスナインは、JA新田みどりにった地域本部とJA邑楽館林で栽培されており、当市場には主にJA新田みどりより入荷しています。
防根シートにより根域を制限し水分を極力少なく栽培する方法で、糖度9度以上のトマトを栽培しています。糖度を表すBrix値が9度以上あることからこの名がつきました。
四季トマト
群馬県で少人数の生産者らがこだわりを持って取り組んでいます。周年栽培しており、季節によって糖度に変動があるため糖度保証はされていませんが、高糖度のトマトです。 |
ミディトマト |
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大玉種とミニトマトをかけ合わせるなど、様々な品種改良を経て誕生した中玉種トマトの総称です。そのため、ミディトマトと呼ばれるものにも色々な品種があります。
大体一個が50g前後で、果皮、果肉共にしっかりとしており、一般的に栄養価は桃太郎などの大玉種よりも多く、リコピンもたっぷり含まれています。大玉トマトより甘くて栄養価が高いことや、使いやすいサイズであることから人気が出ています。 |
選果システム |
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近年、高糖度トマトをより差別化するため、産地では高度な選果システムを導入し、商品のPRにも活用しています。以下にその代表的なものを紹介します。
(こうしたシステムはトマトに限らず、他の野菜や果物などにも利用されています。)
・IDパン式選果システム
果実をIDチップパン(お皿のようなもの)に載せたまま搬送し選別するため、果実の接触が無く、無落差で振り分けられるので品質が損なわれません。
また内臓のIDチップにより確実に等級別に振り分けするとともに、電算システムへの情報集積を行います。
・画像処理システム
カメラを利用しトマトを画像で取り込み、あらかじめ設定しておいた設定値を基に、色、傷、花落ち、楕円度、凹凸度、空洞度を自動計算し、当階級判別を行います。
・透過型光センサー
ハロゲンを光源に、近赤外線の糖を吸収する性質を利用し、果実を破壊することなく、果肉全体の糖度測定を行う。一般的に糖度センサー・光センサーと呼ばれています。
・トレーサビリティ
出荷品に産地情報(選果日・生産者・規格)を付加し生産履歴がわかるように出荷している産地が多いです。日本では米や牛肉用の牛に、この法律が義務付けられています。 |