| 金時草 | 
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            「きんときぐさ」ではありません。「きんじそう」と読みます。 
のこぎりのようなぎざぎざ状の葉。その表と裏で色が全く違う、大変特徴のある野菜です。表側は緑色ですが、裏側は鮮やかな金時色(赤紫色)をしているので“金時草”の名がつきました。 
酢の物にして食べるのが一般的で、ゆでるとワカメやモロヘイヤのような独特のぬめりが出ます。   | 
          
          
            
             
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            出回り期  
ハウス栽培の成功によって今では一年中、市場に出回っています。 
ただしもともとは夏の野菜で、旬は6月下旬~10月下旬です。 
産地=花園地区  
             
            選び方 
葉裏の紫色の濃いもの、葉の枚数が多くて大きいものを選びましょう。   
             
            保存方法  
            濡れた新聞紙にくるんで冷蔵庫へ。また、立てて保存するようにしましょう。 
            寝かせておくと上に伸びようという植物の働きによって、茎が曲がりやすく傷みも早くなってしまいます。  
             
            栄養 
ビタミンA、B1、B2、カリウム、鉄分、カルシウムを多く含む健康野菜。 
夏バテ防止に効果的です。 
また、最近の研究では高血圧を抑え、精神の鎮静化にも役立つことがわかりました。  
             
            食べ方  
9割がたは酢の物にして食べられてきましたが、最近は独特の紫色を活かそうと、工夫をこらした料理が登場しています。  
さっとゆでると鮮やかな金時色に変わり、特徴あるぬめりが出ます。  | 
          
          
            
             
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            料理レシピ 
             
            金時草の酢の物 
            材料(4人分) 
金時草1束  
生姜 
            作り方 
            ①金時草の葉をちぎり、水洗いする。 
            ②たっぷりのお湯に塩を一つまみ入れて沸騰させる。 
            ③金時草を入れ、再び沸騰させてから30秒間茹でる。(茹ですぎるとぬめりが失われ、風味を損なう。) 
            ④しばらく流水にさらし、3cm程度に切る。 
            ⑤絞った後、酢じょうゆに酒少々を加えて和え、おろし生姜を添える。 
             
            金時草のかき揚げ 
            材料(4人分) 
金時草3本 
コーン大さじ2杯分 
人参1/6本 
しらす干し50g 
ししとう4本 
            ①金時草は葉を摘み適当な大きさに切る。 
            ②人参は千切り、ししとうは半分にきり千切り、コーンは水気を切っておく。 
            ③天つゆを用意する(市販のめんつゆでもよい) 
            ④小麦粉で衣を作り①②とシラス干しを混ぜ合わせ、180度の油で揚げる。 
            ⑤大根おろし、おろし生姜などの薬味と天つゆを添える。 
             
            料理コンテストでは、紫色スパゲティが登場。また、フードピアでは料理の鉄人・道場六三郎がしぼり汁を使った紫色シャーベットを披露しました。 
            現在、金時草を粉末にして食品や化粧品などに利用されています。もしも低コストで作れるようになれば、一般家庭でも金時色アイスクリームやプリンなどのアイディア料理が手軽に作れるようになるでしょう。
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            |  追 記 | 
          
          
            金時草の来歴には諸説あり、平賀源内の「物類品」によると宝暦9年(1759年)にオランダから入ったとされているが、また一説には中国・台湾から九州に入ったとも言われている。当初、スイゼンソウと呼ばれており、熊本市の水前寺地方が湧き水を利用して栽培するようになり、水前寺菜と呼ばれるようになった。 
            加賀地方での導入時期にも藩政時代説と昭和初期説の2つの説がある。いずれにせよ、金沢の農家が熊本から持ち帰り、自家用に栽培したのが始まりである。昭和25年頃から地元金沢市場へ出荷されるようになったが、当時の金沢では決まった呼称がなく、「葉の色が金時(きんとき)色をしているから金時草(きんじそう)にしよう。」ということになった。名付け親は市場の競り人である。 
            どんなところでも栽培できる強い作物だが、夏、昼夜の温度差があり、日差しの強くない場所で栽培するのに適している。よって、中山間地の特産物となった。種子がほとんどできないので挿し木で増やしていき、6月から霜のおりる11月まで収穫するのが一般的なスタイル。気温が30℃を超すと鮮やかな紫色が出ないというデリケートさを持つ。 
             
            金時草の紫色はアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種で抗酸化作用がある。 
            金沢大学自然科学研究科の太田富久教授(薬学博士)によると、金時草のエキスに血糖値を抑える効果があるということが研究の結果明らかになった。また、石川県立大学・榎本俊樹准教授の研究では、血圧を調整する成分・γ-アミノ酪酸(GABA)が多く含まれ、血圧上昇を抑える効果があることがわかった。GABAは金時草100g中に約23㎎含まれており、大根の7㎎、にんじんの15㎎、春菊16㎎などと比較しても多い。また、GABAは血圧を下げるだけではなく、精神を鎮静化する効果もあることがわかってきた。 |