| 歴史  | 
                
                
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                  中国浙江省原産。中国では約2000年も前から薬用として用いられていたようです。古書「本草綱目」に“カリンには咳止め、利尿作用、鎮痛作用がある”という内容が記されています。  
                  日本に伝わったのは約1100年前、弘法大師が唐から苗を持ち帰ったのが最初と考えられています。全国各地で庭木として植えられました。名前の「かりん」が「借りぬ」に通じるため、借金をしないですむという意味で庭に植える習慣のある地方もあります。 | 
                
                
                  | マルメロ  | 
                
                
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                   カリンによく似た果実に「マルメロ」があります。 
見た目も同じ、香りも同じ、使われ方も同じ、薬効まで同じときては混同するのも無理はないでしょう。実際お店で、本当はマルメロなんだけれども「カリン」として売られている場合も結構あるようです。マルメロもカリンと同様、果実酒、ジャム、シロップ漬けなどにしてお楽しみください。  
                   
マルメロは、ヨーロッパではギリシャ・ローマ時代から栽培されていたようです。現在は南ヨーロッパ・アメリカ東部に多く栽培されています。日本には1634年に渡来しました。 
両者の違いは以下の表のとおりですが、表面を触ってみてすべすべしているのがカリン、産毛があるのがマルメロというのが一番わかりやすい見分け方です。  
                   
                  
                    
                    
                    
                      
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                        カリン | 
                        マルメロ  | 
                       
                      
                        | 原産地 | 
                        中国 | 
                        イラン、トルキスタン | 
                       
                      
                        | 日本伝来 | 
                        9世紀 | 
                         17世紀 | 
                       
                      
                        | 形 | 
                        細長い楕円形 | 
                        カリンよりも球形 | 
                       
                      
                        | 毛 | 
                        なし | 
                        表面に細かい毛がある | 
                       
                      
                        | 生食 | 
                        不可 | 
                        可 | 
                       
                    
                   
                   
ちなみに、柑橘類の皮で作る「マーマレード」は、もともとはマルメロの皮から作ったことからその名前がついたそうです。 
                  また、マルメロのことを「カリンのにせもの」と考えるのは大きな間違い。カリンの学名は「Pseudocydonia sinensis」といいますが、Pseudocydoniaは「偽物のマルメロ」、sinensisは「中国産の」という意味があるそうです。  
つまりカリンの学名を直訳すると「中国生まれのマルメロもどき」ということになり、むしろカリンの方がマルメロの真似をしたのかも?ということになるわけです。 | 
                
                
                  | 出回り期  | 
                
                
                   | 
                  10月下旬から12月上旬にかけて出回ります。ピークは11月です。 | 
                
                
                  | 選び方  | 
                
                
                   | 
                  つやがよいものを。また、買う時に黄色く色付いているならば、香りのよいものを選んでください。   | 
                
                
                  | 使い頃  | 
                
                
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                  熟したカリンの色は黄色です。 
カリンは収穫後も追熟するので、市場に出回るものは完熟していないもの=淡い緑色のものが多いようです。この状態では食材としても芳香剤としても使うには早すぎますから、もし買ったカリンがまだ十分に色付いていないなら、数日間、室内に置いておくと良いでしょう。  
熟すにしたがって黄色みが増し、香りが強くなってきて、スベスベしていた表面に油が吹いてきます。この状態になってから使用してください。 | 
                
                
                  | 栄養  | 
                
                
                   | 
                  カリンに「咳止め、痰、ぜんそくに効く」という薬用効果があることは有名で、昭和50年代にカリン酒の咳止め効果がマスコミで取り上げられて以来、認知度はさらに高まりました。「カリンエキス配合」ののどあめなども数多く出回っています。  
                  果実に含まれる「アミグダバリン」という物質が有効成分です。家庭で作るカリン酒などでもこの薬効はあるので、風邪をひきやすい季節には常備しておくと良いでしょう。その他の成分としてはカリウムが豊富です。 | 
                
                
                  | レシピ  | 
                
                
                   | 
                  いずれも、黄色く完熟して香りがよく出るようになったカリン(マルメロ)を使ってください。  
                   
                  ☆カリン酒☆ 
                  材料 
                  かりん1kg、グラニュー糖500g、焼酎1.8リットル 
①カリンを水洗いし、1cm~2cm程度の輪切りにします。中の種も香りを出すのでは捨てなくてもよいでしょう。 
                  ②広口ビンにグラニュー糖とカリン、焼酎を入れます。好みによってレモンのスライスを3~4個入れてもよいでしょう。 
                  ③密封して保存してください。通常、3ヶ月程度で飲めるようになります。また、6ヶ月位したらカリンだけを出してください。 
 
                  ☆カリンのシロップ漬け☆ 
                  材料 
カリン1kg、砂糖400g、食塩大さじ1.5杯 
                  ①砂糖400gと水400gを煮てシロップを作ります。 
                  ②カリンを水洗いし、ふきんで水を取ったら、4つ割にして芯を除き、いちょう切りにします。皮は剥かなくてもよいでしょう。 
                  ③切ったカリンを薄い食塩水に浸しておきます。 
                  ④広口のビンにカリンとシロップを入れます。その後熱湯に入れて15分程度漬けておき、熱いうちに密閉します。そのまま自然に冷まして下さい。 
                  ⑤1ヶ月ほど置いておくと食べられるようになりますが、もっと長期間の方がおいしく召し上がることができるでしょう。 
 
                  ☆カリンジャム☆ 
                  材料 
カリン1kg、砂糖500g 
                  ①カリンの皮を剥き、芯を取り除いて薄く切ります。  
                  ②鍋に入れて煮ます。  
                  ③カリンが軟らかくなってきたら砂糖を2~3回に分けて入れます。  
                  ④全体が透明になったらビンに移し替えます。 |