名前の由来と花の形 |
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英語「パッション」は「情熱」を意味しますが、ここではそうではなく、「キリストの受難」を表します。
名付け親は16世紀・大航海時代のスペインのイエズス会士。南米に渡った彼がはじめてこの“花”を見て、かつてアッシジの聖フランチェスコが夢に見たと伝えられる「十字架上の花」であると信じ、これを「受難の花(Passiflora)」と呼んだことに始まります。
花の一部分にある十字の形を、キリストが張り付けになった十字架に見立てたのです。葉はユダがキリストを売った時に得た30枚の銀貨を、雄しべ5本はキリストが受けた5つの傷を、巻きひげはムチを、3本の柱頭は釘を、脂肪柱は十字架を、5枚ずつある花弁とガクは合わせて10人の使徒を、それぞれ象徴しているそうです。以来、その果実も「パッションフルーツ」と呼ばれるようになったのです。
一方、日本人はこの花を時計の文字盤に似ていると見ました。そこから時計草、又はクダモノトケイと名付けたのです。 |
歴史 |
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原産地は南アメリカ。ブラジル南部、パラグアイ、アルゼンチン北部一帯であると考えられています。18世紀南米より日本に渡来。 |
産地 |
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オーストラリア・ニュージーランド・ハワイ・インド・スリランカ・台湾など世界各地の熱帯・亜熱帯地方で栽培されています。また、日本では沖縄、小笠原諸島、奄美大島等で栽培されています。 |
出回り期 |
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ニュージーランド産は1月~9月、アメリカ産は7~2月がシーズン。国内産は春先から~10月にかけて出回りますが、沖縄産は4月初旬~9月いっぱい。 |
品種 |
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品種は大きく分けて3種類あります。日本に輸入されているもののほとんどは①と②です。
①パープルグラナディラ
直径4~5cmの球形で皮の色は茶色から熟すると紫色になりしわができます。果肉は黄色の果汁がたっぷりのゼリー状です。黒い丸い種が多数入っており、芳香があります。
②スィートグラナディラ
橙色の皮が特徴。果肉はパープルグラナディラとあまり変わりませんが、香りはやや薄いようです。
③マラクヤ
果皮が黄色で、大型の品種です。 |
保存方法 |
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常温で1週間ぐらい日持ちします。長く持たせたいときは、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れてください。 |
食べごろ |
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パッションフルーツは収穫後も追熟によって熟度が進行します。果皮の色が褐変し、表面にしわができたころが食べごろ。ただし品種などによってしわの出方に差があるので、香りの強さ等も目安にしてください。
特に輸入物は、若い状態のうちに収穫することが多いので、お店ですでにしわがあるものを購入したほうが、果肉の甘みは強いでしょう。国産のものは果皮に張りとつやのある新鮮なものを買い、しばらく追熟させて食べるようにしたらよいでしょう。 |
食べ方 |
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①生食
半分に切って、中のゼリー状の果肉を種ごと、そのままスプーンですくって食べるのが最も基本的な食べ方。食べごろになるまでは常温で追熟させると甘味が増し、食べる数時間前だけ冷蔵庫で冷やすのがもっともおいしい食べ方でしょう。
②ジュースなど
果汁を搾り砂糖を加えるとおいしいジュースになります。好みの量の砂糖を加え、種ごとミキサーにかけ、ガーゼでこすと濃いジュースができるので、これを水で薄めて飲みます。また、水の代わりに牛乳を使うとひと味違った風味を楽しめます。また、ゼリーやジャムなどの材料にするのもポピュラーな使い方です。 |
栄養 |
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種ごと食べれば、ビタミン・ミネラルが非常に多く摂取できます。特にビタミンAやビタミンB群、葉酸、カリウムが豊富です。
パッションフルーツは、熱帯フルーツの中で、最も香りのよいフルーツといわれています。この香り(アロマ)には、体をリラックスさせる効果があります。
クエン酸は疲労回復に有効。ビタミンCは生活習慣病から体を守る必須のビタミン。パッションフルーツにはこれらの成分も多く含まれています。 |