来歴 |
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グレープフルーツは、18世紀に西インド諸島バルバドスで、文旦の突然変異として発見されました。果実の成り方が一本の枝にまとまってたくさん成り、その様子がぶどうの房に似ていることから「グレープ」フルーツと呼ばれるようになりました。1823年、フランスからの移住者がアメリカ・フロリダ州で栽培したのが、アメリカでの栽培の始まりといわれています。 日本に輸入されたのは昭和の初め頃です。当時は高級フルーツとしてもてはやされ、砂糖やブランデーをかけて食べるのが主流でした。
1971年に輸入自由化となり、これを境に一般の家庭でも安価に求められるフルーツとなりました。 |
白と赤 |
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グレープフルーツにはいろいろな種類がありますが、大きく分けてホワイトとルビーの2種類があります。
○ホワイト
「マーシュ・シードレス」という品種が主流。
果肉が白色で、果皮は鮮やかな黄色。昔からおなじみの、もっとも一般的なグレープフルーツがこのホワイトです。かつては輸入グレープフルーツの約9割を占めましたが、最近ではルビーと半々の割合になっています。
●ルビー
果肉がピンク色で、果皮もホワイトに比べ赤みがかっています。
ベータカロテンはホワイトよりも含有量が多く、酸味はホワイトに比べ少なめ。。
ここ数年間で、赤みの強い「スタールビー」や「リオレッド」といった新品種も定着してきました。これら赤肉系は人気が高まり、輸入量は今やホワイトと同程度になりました。 |
産地 |
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寒い地での栽培には向いていないため、現在、日本で食べられているグレープフルーツは100%輸入品です。
年間で約270,000トン(1箱18kで約1,500万ケース)程度輸入され、そのうち3分の2はアメリカ・フロリダ産となっています。 フロリダ産は量だけでなく、皮の薄さ、含まれている水分量、栄養分などでも他の産地より優秀であり、名実ともに世界一の産地です。
その他、アメリカ・カリフォルニア、南アフリカからも数多く輸入されます。
輸入果実としてはバナナに次いで第2位です。 |
スィーティー |
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アメリカでポメロとグレープフルーツを掛け合わせて誕生したのがスィーティーです。
現在、イスラエルを主要産地として栽培されており、果皮が緑色なのが最大の特徴。
見た目は未熟ですっぱそうですが、グレープフルーツよりも酸味が少なく、食べやすいと好評。1991年より輸入が開始された新しいフルーツで、今や日本に完全に定着しました。 アメリカでは同一品種が「オロブロンコ」の名前で生産されています。 |
見分け方 |
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手に取ってみてずっしりと重みが感じられるものが良く、皮に張りがあるものを選びましょう。
表面は滑らかで美しいに越したことはありませんが、フロリダ産などは大西洋の温暖な気候と風雨を受けて生育するため、葉ずれがおきやすく、表皮が傷ついたように見える「サビ果」になりやすいのが特徴。中身に問題は全くなく、むしろ、フロリダの自然を全身に浴びて育った証とすらいえます。したがって、フロリダ産を購入する際はそれほど表面を気にする必要はありません。 |
保存方法 |
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気温がそれほど高くないならば、常温で大丈夫。
長期保存するのであれば、ポリ袋に入れて野菜室(5℃程度が最適)に入れてください。 |
グレープフルーツの効能 |
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最近、フロリダ産グレープフルーツには癌・心臓病・出生時障害の危険を予防するという研究がアメリカで次々と発表され、テレビなどでも大々的に報じられました。
①癌予防-アメリカン・キャンサー・ソサエティー(ACS)発表。 癌を予防するには、ビタミンCやA、食物繊維を豊富に含み、低脂肪である食品をバランスよく摂取することが非常に効果的であるとし、グレープフルーツがそれら条件に最もあてはまる食物であるとしています。
また、グレープフルーツには、リモニンという癌予防効果に優れた成分が非常に多く含まれ、毎日2分の1個(又はグレープフルーツジュース1杯)で高い予防効果を期待できます。
②心臓病予防-アメリカン・ハート・アソシエーション(AHA)発表。 グレープフルーツにはコレステロールや脂肪、ナトリウムといった心臓病の要因となる成分をほとんど含まず、低脂肪・低カロリーで繊維質を豊富に含有しているため、心臓病を予防する上で日常的に摂取すると効果的であるとされています。
さらに、イノシトールというビタミン様物質の働きによってコレステロールの代謝を促進させ、肝臓の機能を正常に保ち、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞といった成人病を防ぐ役割を果たします。
③出生時障害の予防-マーチオブダイムス発表。 妊娠初期の新生児には、血液や細胞を作る上で大量の葉酸が必要となります。しかし最近では女性の葉酸不足が指摘されており、これがもとで、生まれてくる胎児に「神経管欠損症」などの出生時障害が数多く発生するようになりました。グレープフルーツには葉酸が豊富に含まれており、妊娠前および受精後1ヶ月の間に毎日食べると高い確率で「神経管欠損症」を予防できるとの研究結果が発表されました。
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その他の栄養・効能 |
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①アルコール分解機能
グレープフルーツ内の成分であるフルクトースという果糖がアルコール代謝に有効。また、果汁に含まれるイノシトールが肝臓の負担を軽くし、肝臓に脂肪がたまるのを予防します。
お酒をたくさん飲んだ時はグレープフルーツ(ジュースでも可)を摂取するととても効果的です。
②ダイエットに効果的
グレープフルーツは他の果物に比べてカロリーが低く、脂質、糖質も少ないので、ダイエットに効果的です。さらに、ビタミンB1は、糖質を効率よくエネルギーに変えてくれるので、体内に余分な脂肪が蓄積されるのを防いでくれる役目も果たします。
③薬との相性
グレープフルーツにはフラノクマリンという成分があり、薬の血中濃度を上げる効果をもたらします。これによって、薬が効きすぎることがあるので、基本的には「薬と一緒には摂取しない」ようにしてください。これはグレープフルーツジュースについてもあてはまります。 |