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果実の知識

ドライフルーツ
~食文化の幅を広げます~
紹介
ドライフルーツとは、その名の通り、くだものを乾燥させたものです。
ホシブドウ(=レーズン)は最も馴染み深いものですが、最近ではありとあらゆる果実がドライにして売られています。
ドライにすることで水分が抜けて成分が凝縮し、生鮮で食べるより効率よく栄養を摂取することができるのです。
日本は後進国?
日本独特のドライフルーツといえば“梅干”“干柿”など。特に梅干は日本人の食生活になくてはならぬものです。
ですが、種類の多さ・使い方のバリエーションにおいて、ドライフルーツの先進国はやはり欧米諸国であり、近年、日本に数多くの種類が流通し始めたことは、欧米の食文化が日本に浸透してきたことの証でもあります。
歴史
ドライフルーツはもともと保存食として利用されてきたものです。古代ギリシャ、ペルシャ、エジプト、古代中国の古き時代から、戦争などの非常時における保存食として重用されてきました。ドライフルーツが作りやすいのは気温が高く、湿度の低い地域です。日本で梅干・干柿以外にあまり乾燥果実が発達しなかったのは、日本の気候が基本的にドライ作りに向かないからです。
現在では、ドライにするフルーツの種類も非常に増え、その特性に応じて風味や色、味を損なわないようにさまざまな乾燥方法が開発されています。
機能性
ドライフルーツは食生活においてどういう役割を果たしてくれるでしょう。
①保存性が良いので非常食として。
②栄養価が凝縮されているので健康食として。
③お料理のバリエーションを増やす食材として。
など、いろいろ考えられます。それぞれを考察してみましょう。

[①保存性]
ドライフルーツは本来が保存食ですから、基本的に長期間の保存がききます。ただし、種類によって残存水分量に大きな違いがありますので、賞味期限も1ヶ月~数年と大幅に違ってきます。袋には必ず賞味期限が印字されていますから、チェックしておくべきでしょう。
※「賞味期限」とは「品質が十分に保持される期限」のことです。わかりやすく言い換えると「この期限まではおいしく食べられる」ということで、期限を少し過ぎて食べても安全面からいえば大丈夫。風味などは若干落ちる可能性があります。(これに対し「消費期限」という言葉は、「この期限を過ぎると危険!」という意味になりますから、注意が必要です。)
ドライフルーツの賞味期限は、常温・未開封を前提として、バナナチップやドライマンゴーなど、水分量の少ないものは半年、プルーンやレーズンなど比較的水分の多いものは3ヶ月を賞味期限とすることが多いようです。ただし、実際にはその倍以上の期間放っておいても問題がない場合がほとんどだそうです。あまりに賞味期限が長いとかえって消費者は不安感を抱くので、製造業者は“安全の上にも安全”として、実質の賞味期限よりも短い期間を設定することが多いそうです。

[②水分の凝縮]
くだものの中に含まれる水分は総重量の80%~90%にも及びます。水分には、蒸発する「自由水」と、タンパク質などと結合している「結合水」の2種類があります。ドライフルーツは、「自由水」をある程度まで乾燥・脱水させたものです。「結合水」と結びついている栄養成分はそのまま凝縮された形で残っていますので、少ない重量で効率的に栄養を摂取できるというわけです。
ただし、ここでも注意するべき点があります。
一つには、“凝縮されて残る”とはいっても、ビタミン類はドライの過程で失われてしまう部分が少なくないこと。特にビタミンCは消失量が多いので、「ドライを食べれば栄養万点」は過信です。
また、エネルギー(カロリー)も凝縮されていることに注意。ちょっとしか食べていないつもりでも、かなりのカロリーを摂取している場合があります。毎日、少量ずつ食べるのが最も健康的な方法。プルーンなどの大粒系ならば1日2粒、レーズンやブルーベリーといった小粒系ならスプーン1杯程度にとどめておくことが、バランスの良い食べ方です。

[③料理のバリエーション]
そのまま食べるだけではなく、いろいろな料理に組み合わせることで、ドライフルーツの
応用例はグッと幅広くなります。近年、ドライフルーツが脚光を浴びてきたのはこの理由によるものです。
例えば、肉や魚を焼くときに、ドライフルーツを一緒にすると、酵素の働きでタンパク質がやわらかくなり、美味しくできあがります。味わい的にも、肉のうまみ+果実の甘味の合体は、日本人にとっては斬新なものです。
また、ドライフルーツを刻んでヨーグルトに混ぜたり、朝食のシリアルに添えたりするだけでも食卓が一気に多様化します。
栄養
ドライフルーツ全般に共通しているいえる特徴は、食物繊維、ミネラル、抗酸化物質の三つの要素が豊富に含まれることです。

●食物繊維
食物繊維には、水に溶ける「水溶性タイプ」と水に溶けない「不溶性タイプ」の2種類があり、それぞれ働きが違います。そして、ドライフルーツにはその両方がバランス良く含有されています。
水溶性食物繊維は、血液中のコレステロールの上昇を抑制し、血糖値を抑える働きをし、また、体内の塩分を排泄することで高血圧になるのを防ぐ働きをします。
不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨張し腸を刺激するので、便秘や整腸作用に威力を発揮します。また、有害物質が体内に吸収されるのを防ぎ、体外に排泄する役割も果たします。

●ミネラル
果実に含まれていたミネラルの多くは、乾燥の過程で失われることなく凝縮されます。したがって、カリウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、リンなどのミネラル類を補給するには、ドライフルーツはこの上なく効率的な食品であるといえるでしょう。

●抗酸化物質
抗酸化物質が含まれているのはドライフルーツの色素の部分です。フルーツによって赤、黄、青、紫などさまざまな色がありますが、こうした色素には植物が紫外線や病気から自分の身を守るための物質が含まれており、それを食した人間にも同様の恩恵を与えてくれるのです。
商品紹介
ほんの一例ですが、ドライフルーツの商品紹介です。

レーズン
完熟した種なしブドウを乾燥させたもの。多くはアメリカ・カリフォルニア産のブドウを原料としています。パンやお菓子などに使われるため、西洋生まれのドライフルーツ群の中では日本人に最も馴染みの深いものでしょう。粒と粒がくっつかないように、全体に薄く植物油を絡めてある商品が多いようです。

バナナチップ
バナナをスライスして水分を抜いたもの。バナナがもともと豊富に持っているカリウムは健在です。また、水分量を非常に少なくしていますから、保存期間抜群。多くは、蜂蜜などの甘味料をまぶして、甘味を増している商品が多いようです。

プルーン
西洋のスモモである「プルーン」を乾燥させたもの。食物繊維が非常に豊富であるため、便秘症の女性にとっては必需品となっています。そのまま食べるほか、洋酒に漬けたり、お菓子の材料にしたり、刻んでヨーグルトの中に入れたりと、応用範囲も広い商品です。

干しいちじく
皮をむいたいちじくを干したもの。多くはアメリカ産いちじくを原料としています。
ミネラルや食物繊維が非常に豊富です。

干しきんかん
きんかんを砂糖漬けにしたものです。きんかんは、果肉よりも皮に栄養素が多く、珍しくカルシウムの豊富なフルーツでもあります。

干しりんご
最近ではありとあらゆるフルーツがドライ化されています。りんごの他にもマンゴー、パイナップル、オレンジなど柑橘類の皮、ベリー類など。

デーツ
なつめやしを干したもの。干柿に風味が似ています。カルシウムがとても豊富です。
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