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果実の知識

あけび
~秋を彩る果物~
秋を感じさせる果実の一つアケビ。子供の頃、山になっている野生の実を採って食べたという、懐かしい記憶がある人も多いのではないでしょうか。昔は山に行けばどこにでもあるものであり、また、他に甘くて美味しい果物がどんどん出てきたため、果実としてはマイナーなものでした。それが最近では、なかなか見かけることもなくなったという物珍しさから、希少価値がつけられ、注目を集めるようになりました。栽培する農家も増え、スーパーでは秋を象徴する季節商材として店頭に並べられるようになりました。
名前の由来
①熟すと、実がパカっと縦に裂けたように開くことから「開け実(あけみ)」と呼ばれるようになり、それが訛って「あけび」になったという説。

②赤い実をつけることから、「赤実」「朱実」(=あかみ)が訛って「あけび」になった説。

③実が熟して、割れた様子が、人間のあくびをしている姿ににているため「あくび」→「あけび」と呼ばれるようになったという説。

どれも一度見たら忘れられない印象的な外見から付けられた名前のようですね。

アケビを漢字で書く際には「通草」と字を当てます。その理由は、アケビのツルにあります。アケビのツルを切り取り、片方の端から息を吹き込むと、もう片方に空気が通り抜けることから、「通草」の漢字が当てられました。
余談ですが、このアケビのツルは非常に丈夫で、昔からザルやカゴ、イス、家の生垣などの材料にされてきました。有名な信州の「鳩車(はとぐるま)」もアケビのツルを編んで作られています。このように、地域によってはアケビは昔から生活の中に活かされているのです。
産地
山形県が現在、全国生産量150tの大半を占めています。昔は、どこの産地でも、山に自生しているアケビを採ってきて出荷されていたのですが、山形県では、アケビを特産品とする町があり、全国に良質なアケビを出荷しています。山形県のある地域では、昔から、「秋のお彼岸の季節には、先祖の霊が“あけびの舟”に乗って帰ってくる」という言い伝えが残っており、この季節になると仏壇にアケビがお供えされるそうです。アケビとの結びつきが強い地域ですね。
山形県以外では、地元・石川県の個人の方が中心になり市場に出荷されています。
品種
アケビ
山に生えているつる性の落葉植物。他の植物などに左巻きに巻きついて成長していきます。紫色の実をつけ、熟すと縦に裂けたように割れ、中身の半透明のゼリー状の果肉と黒色の種が姿を覗かせます。

ミツバアケビ
アケビと違い、紫色ではなく黄土色の実をつけます。

ゴヨウアケビ
アケビとミツバアケビの交配種。非常に甘い。

ムベ(別名 トキワアケビ)
アケビに似た実をつけます。アケビと違い実は熟しても、割れることはありません。
可食部
実の中にあるゼリー状の半透明の果肉を食べます。ほんのり甘さがあります。黒くて固い種は食べることができません。子供のころ、アケビを種ごと果肉を口に含み、後で種だけを吹き出して食べた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
全国生産量1位の山形県では、昔から中の果肉部分だけでなく皮の部分も料理して食べる習慣があるそうです。肉詰め、炒め物、天ぷら、素揚げ・・・など料理方法は様々です。ほんのり甘い実とは違い、皮の部分はまろやかなほろ苦さがあり、大人の味といった感じです。

また、アケビの芽ですが、春の山菜としても親しまれています。一般に「木の芽」というと「サンショウの新芽」のことを指すのですが、東北や信越地方では「木の芽」というと「アケビの若芽」のことを指すそうです。テレビ番組で山形県の代表珍味として紹介されました。「あけびの芽のおひたし」は絶品だそうです。
選び方
割れた実が白色から半透明に変わってきたら食べ頃です。

最近、料亭や旅館で、アケビの美しい紫色を活かし料理を盛る器として使用されることが多くなってきました。そのため、色はもちろんのこと皮の硬さや厚さなどが、選ぶ際の重要なチェックポイントとなってきています。
味を楽しむだけでなく、こういった見た目の美しさという商品価値もアケビにはあるのですね。
保存
アケビは傷みやすく、傷つきやすいので丁寧に取り扱いましょう。
栄養
昔の旅人はアケビを食べて疲れをとったという話があり、滋養強壮に効くスタミナ果実です。
乾燥させた実は、腎臓炎の予防薬として効果があります。
ツルの部分はアケビンと呼ばれる成分が含まれています。アケビのツルを輪切りにして日に干し乾かしたものは、利尿作用、鎮痛作用などに特に効果的な薬として使用されています。漢方では「木通(もくつう)」という名で使われています。
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