| アールスとマスク  | 
                
                
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                  長い歴史と努力によって、現在、アールスメロンにも数多くの品種・栽培方法が生まれました。そのルーツをたどれば大正時代にイギリスからきた“アールス・フェボリット種”に行き着きます。  
                   
                  ○マスクメロン 
純粋なアールス・フェボリット系であり、温室の隔離ベッド(後述)で栽培されたアールスメロンを「マスクメロン」といいます。マスクメロンは香り・味ともにメロンの最高級品として君臨しており、静岡県の静岡県温室農業協同組合が圧倒的なシェアを誇っています。  
「マスク」は「MASK(面・仮面)」ではなく、「MUSK(麝香-じゃこう)」の意。麝香はオスのジャコウジカがメスを誘うために出す分泌物で、このメロンの香りが麝香の香りのように素晴らしいということから名前がつきました。 
 
                  ○その他のアールスメロン 
アールス・フェボリット種にいろいろなメロンをかけあわせ、病気に強い・環境に適応しやすいなど様々な改良を施された品種が数多く栽培されています。 | 
                
                
                  | 来歴 | 
                
                
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                  メロンの原種はアフリカ西部が起源と考えられています。その後エジプトからヨーロッパに伝わったものが分派して、ネットメロン系、ノーネット系へと分かれていったようです。そのうち、アールス種は、ペルシア駐在の英国大使がイギリス本国に送ったものを改良したものであり、「earl’s(伯爵の)favorite(お気に入り)」と呼ばれるまでに評価を得ました。
                  アールスが日本へ導入されたのは明治30年代で、福羽博士によって新宿御苑で初めて試作されました。それから栽培が普及し、大正6~7年頃から市場に出回るようになりました。
                  その後の静岡県を中心とする各産地の絶え間ない努力によって、現在では名実ともに世界一の品質を誇るまでに成長しました。  | 
                
                
                  | 最高級品を作る技術  | 
                
                
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                  ○隔離ベッド  
最高品質のアールスメロンを作るために開発されたのが「隔離ベッド栽培」です。これは通常の野菜・果物の栽培方法とは大きく異なり、地面から切り離された人口の栽培床で育成するもの。アルミ製の枠に土を盛った構造になっており、与える水や肥料の量を完全にコントロールすることができます。  
                  メロン作りの名人になると、それぞれのメロンがどのくらい水を欲しがっているのか、太陽の光をどの程度必要としているのか、その声が聞こえてくると言います。隔離ベッド栽培によって、1個1個緻密な管理が可能となるのです。    
                   
                  ○1本1果 
メロンは1本の木に複数個成らすことができますが、本場静岡などでは、あえて一番良い実だけを残し、他を摘み取ってしまう方法を採用しています。これは、養分全てを1個だけに集中し、より素晴らしいメロンに育て上げるためです。もったいないような気もしますが、これが“最高級品”と呼ばれる所以でもあります。   
 
                  ○100日サイクル 
                  種まき→接木→定植→灌水→交配→撰果→玉吊り→ネット期→玉ふき・・・ たくさんの工程を経て、ようやくメロンは収穫されます。種まきから収穫までは約100日です。 | 
                
                
                  | 食べ頃  | 
                
                
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                  メロンは収穫してからも熟度が進行し、熟れ具合によって果肉の甘さ・硬さが大きく違ってきます。せっかくですから、一番おいしい時を見計らって食べるようにしたいものです。箱などに「食べごろは○日頃」と書かれていることもありますが、気温、保存状態などによってずれが生じる場合もあります。次に挙げるポイントを参考に、ご自分で判断されるとよいでしょう。熟度は日に日に変化しますので、できれば毎日チェックするようにしたいものです。  
                   
                  1・お尻の硬さ  
メロンの下部を指で押してみて少し弾力がある状態が食べごろ。お尻が硬い時は果肉も硬く、未熟な場合が多い。また、やわらかすぎるのは熟れすぎです。 
 
                  2・色  
表面の青っぽさが少し黄色味を増してきたら食べごろ。  
 
                  3・匂い  
メロン特有のかぐわしい香りが強くなってきたら食べごろ。 | 
                
                
                  | 保存方法 | 
                
                
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                  買ったメロンは、冷蔵庫には入れず、常温で保管してください。  
ただし、食べごろとなり「今日食べよう!」となった場合は食べる数時間前に冷蔵庫に入れて冷やしておくと、いっそうおいしく召し上がれます。   | 
                
                
                  | 栄養  | 
                
                
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                  ■カリウムが豊富で、可食部100g中に350mg含みます。カリウムは体内から排出されるときに必ず塩分を伴って出て行くので、塩分をとりすぎる傾向にある現代人にとっては非常に効果的であるといえます。  
■最近の研究で、温室メロンにはGABA(ギャバ)というγ-アミノ酪酸が多量に含まれることが明らかになりました。GABAは高血圧を予防する働きがあります。 ・メロンに含まれるパントテン酸は、コレステロールを減らし、脂肪がたまるのを予防する効果があります。 
                  ■その他、アールスメロンには血流をよくし、脳血栓・心筋梗塞を予防する効果があります。  | 
                
                
                  | メロンのネット  | 
                
                
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                  アールスメロンやアンデスメロンには、表面に網目のような模様があります。この模様を「ネット」といいます。  
                  果実が成長する過程で、表皮の成長が先に止まって硬くなり、内部がまだ大きくなろうとするために、表面にひび割れが入ります。そのひび割れをふさぐためにできるのがネットで、人間の体にたとえればかさぶたのようなものです。
                  ネットの美しさもメロンを評価する上では重要な要素となっています。  |