ブルーベリーというと真っ先に思い浮かぶのはジャムかもしれません。たしかにジャム、ワイン、お菓子、ジュースなど、加工製品への応用は幅広いものがあります。しかし、ここで紹介するのは生鮮果実としてのブルーベリーです。
小さくて甘酸っぱい香りと味は特に女性に人気。独特の青紫色の粒の中には様々な現代病を予防する驚きのパワーが詰めこまれています。石川県では、能登町柳田(旧柳田村)が「ブルーベリーの里」として栽培に力を入れています。 |
出回り期 |
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能登町では6月末からスタートし、7月に入って本格的に出荷されます。終了は9月上旬。 他県物も、出回り時期としては6月下旬~9月。 海外からはアメリカ、ニュージーランド、チリ、オーストラリア、カナダなどから、1年中切らさないようにリレーしながら日本に入ってきています。
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見分け方 |
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青紫色が鮮やかで、形の整ったものが良いでしょう。
表面に見える白い粉は農薬ではなく、果実から出る分泌物です。むしろおいしさの証明だといえます。 |
保存方法 |
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ラップをして冷蔵庫で保存してください。ただし、もともとが日持ちのしない果実ですから、購入後2~3日が限度。 長期保存には冷凍がお勧めです。 |
栄養 |
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ブルーベリーはブドウ糖、果糖などの糖類や各種有機酸、食物繊維が豊富に含まれている健康食品ですが、最近特に注目されてきたのが「アントシアニン」という色素で、新聞、テレビ、雑誌でよく話題になっています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーの中に含まれる量は100g中200~600㎎と、果実の中でもトップクラスです。
①視力向上
アントシアニンが目にいいということは古くからいわれてきました。目の網膜視細胞で光を伝達するロドプシンの再合成を促進する働きがあります。
②ガン予防
近年の研究で、アントシアニンには活性酸素を抑制する効果があることがわかってきました。人間の体内で発生する活性酸素は、ガンや様々な生活習慣病の原因になります。アントシアニンが持つ抗酸化性は、緑茶のカテキンに匹敵するものだそうです。
③その他効用
さらに、アントシアニンには老化防止、記憶力増強、運動機能改善に効果的です。 |
石川県・能登町のブルーベリー |
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能登町の柳田地区にはもともと、ブルーベリーの原生種といわれる「ナツハゼ」が多く自生しており、昔から果実酒などとして親しまれていました。 このことにヒントを得て、昭和58年よりブルーベリーの苗木を導入し、平成2年には「ブルーベリー村整備構想」を策定。能登町(旧柳田村)、生産者、銀行や学識者などが共同出資する第3セクター「柳田食産株式会社」を中心に、村をあげてのブルーベリー特産化に取り組みました。土壌的にはもともと向かない地を改良した、その努力は大変なものだったそうです。
能登町のブルーベリーのセールスポイントは「完熟・無農薬」です。未熟のうちに収穫すると、色は追熟によって濃くなりますが、酸が上手く抜けません。ですから、柳田村では樹上完熟させています。また、健康と環境に配慮して、無農薬栽培を徹底しています。ブルーベリーの苗や樹にとって大敵は毛虫。放っておくと一晩で葉を食い尽くされることもあるそうです。農薬を使えませんから、これらの駆除は全て手作業。大変な手間と労力がかかります。
ブルーベリーは 粒の大きさによって撰果され、直径18mm大がLサイズ、15mm大がMサイズ、12mm大がSサイズとなり、L、Mは生食用として出荷され、Sは加工用として冷凍保存されます。やわらかくデリケートな果実は機械撰果ができず、すべて手作業で行われます。能登町では、生の出荷以外にも工場で「ブルーベリーワイン」を醸造・販売し、他にも「ブルーベリージャム」、「ブルーベリーアイスクリーム」、「ブルーベリーゼリー」を販売しています。ワイン1本を作るのに1kg、ジャム小瓶1個を作るのに200gのブルーベリーが必要だそうです。 |
栽培と収穫 |
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ブルーベリーには酸性の土壌(PH4前後)が適しています。苗を植えてから約8年で成木となり、高さは1m~2mになります。(アメリカなどでは3m以上の樹も多いようです。)
果実は、子房と花托の発育した小球状の液果で、成熟すると青紫になり、表面に白い粉をつけます。 写真のように、全体に色づくのではなく、ポンポンと1つずつ青くなっているさまがユニークです。
1本の樹から取れる果実は多くて5kg、平均2kg。雨が降ると収穫ができず、しかも日持ちがしないので、出荷調整ができません。生産者にとってはリスクが大きく、苦労の多い果実と いえるでしょう。 ヒヨドリなどについばまれるのを防ぐため畑全体にネットを張る作業もかかせません。 |
品種 |
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一口にブルーベリーと言いますが、実は世界中に数百種の品種があり、日本国内でも約120種類が栽培されています。能登町で栽培されているのは、この地の気候に適合した35品種です。品種によって葉の形、色、枝ぶりなどが微妙に違います。
たくさんの品種を栽培する必要があるのは、ブルーベリーには自家不結実性があるからです。これは、同一品種の花粉では結実しないという樹の特性で、さくらんぼなどにも見られる性質です。果樹園では、列ごとに違った品種の樹が植えられています。(写真)
こうすることによって異品種の花粉が付きやすくするのです。
収穫したブルーベリーは、品種別には分けられず、混ぜあわせて撰果されます。つまり、何十個と入った1パックの中には、たくさんの品種が含まれているわけです。1つ1つを味わって、「おっ、これとさっきのとは品種が違うのかな?」なんて考えながら食べるのも楽しいかもしれませんね。たくさんある品種は大まかに以下のような系統に分けられています。
①ハイブッシュブルーベリー
北アメリカ原産。日本には1951年から導入され、この系統のものが何十種類と入ってきています。品種改良が最も盛んに行われている品種で、寒さに強く、主に寒冷地や高冷地で栽培されています。強酸性の土壌を好み、水分が多量に必要で、乾燥に弱いという性質があります。
②ラビットアイブルーベリー
アメリカ東南部原産。成熟途中の果実の色が、兎の目のようなピンク色になることから名付けられました。日本には1964年から導入され、この系統の品種が現在でも栽培されています。 ハイブッシュ系に比べると寒さに弱く、逆に乾燥にはやや強い性質。弱酸性の土壌を好みます。「ティフブルー」がこの系列の代表的品種です。
③ローブッシュブルーベリー
野生種で、アメリカ北東部やカナダ東部、北ヨーロッパ等に広く自生しています。果実は小さく、黒紫色。生食されることはほとんどなく、加工用としてジャムやワインなどの原料として使われています。日本ではほとんど栽培されていません。
④ブルーベリーの仲間
日本の野生種であるクロマメノキ、ナツハゼ、コケモモ、クロウスゴなどはブルーベリーの仲間です。 |
レシピ |
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手作りブルーベリージャム
材料
ブルーベリー200g、レモン、グラニュー糖100g
①鍋にブルーベリーとレモンの輪切り1枚を入れて弱火で煮込む。
②果汁がしみだしてきたらグラニュー糖を加え、30分ほどさらに弱火で煮込む。 |