来歴 |
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19世紀末の明治21年、この地の農家・松戸覚之助氏が民家のゴミ捨て場に生えていたナシの木(自然交配で生まれた新しい苗木と思われます)を偶然に見つけて持ち帰り、その後改良を重ねて完成させた品種です。 種苗業の渡瀬寅次郎氏と東京帝大の池田伴親氏が相談し、来世紀の代表品種になるようにとの夢を託して明治31年(1898年)、「二十世紀」と名付けました。 |
出回り期 |
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8月下旬から10月にかけて出回ります。金沢市中央卸売市場では、地元石川県産と鳥取産を中心に入荷しています。 |
選び方 |
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持ってみてずっしりと重量感があり、実が硬く、ヘタの部分まで張りのよいものを選びましょう。特に二十世紀は袋をかけて栽培することが多いので、袋を取ってから日光を十分に浴びた黄色味の強いものがおすすめです。 |
保存法 |
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梨の中では日持ちのとても良い品種です。
冷蔵庫なら完熟したものでも1週間は保存できます。 |
名前はどうなる? |
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19世紀末に「20世紀を担う代表品種になるだろう」との思いから名付けられたこの梨は、見事に期待に応えました。しかし、それから100年以上の年月が経ち、時代は21世紀。「二十世紀」の名前はどうなってしまうのでしょうか。結論をいえば、これまで通り「二十世紀」の名前は変わりません。
大学や農業試験場などでは品種改良の試みが日々なされており、現在、二十世紀よりも病気に強く糖度の高い青なしが開発されています。その中には、実際に「二十一世紀」という名で登録を申請したという事実もあります。ですが、他の商品でこの商標が既に登録されていたという理由で、「二十一世紀梨」は実現しませんでした。
今後、二十世紀はそのままの名前で出荷され、改良品種達は全く新しい名前で市場に登場することでしょう。 |
梨の日 |
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毎年7月4日は独立記念日として、アメリカは大いににぎわいます。一方、日本では「梨の日」としてやはり大きなにぎわいを・・・みせてはいないようです。「な・し」の語呂合わせから来た記念日ですが、梨を本格的に食するにはちょっと時期がずれていますね。 |
赤ナシ、青ナシ |
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赤(茶)色の強い梨を「赤梨系」、青(緑)色の強い梨を「青梨系」といいます。
梨は長年かけて数多くの品種が登場しましたが、以下にその代表的なものを挙げてみましょう。
赤梨系
新水、幸水、豊水、長十郎、新高(にいたか)、南水、晩三吉、喜水、名月、君塚、幸蔵、新興、雲井
青梨
二十世紀、菊水、八雲、新星 |
「梨(ナシ)」の由来 |
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その名の語源には諸説あります。
①中心部分が酸っぱいので『中酸(なかす)』あるいは『な(内部)すみ(酸味)』と呼ばれ、それが省略されて『なす』になり、転じて『なし』になった。
②甘いので「あまし」と呼ばれ、それがなまって「なし」となった。
③風があると実ができないから「風なし」とされ、それが「なし」になった。
④中が白いので「なかしろ」と呼ばれ、省略されて「なし」になった。
⑤次の年まで色が変わらないという意味の古語「なましさ」が略されて「なし」になった。
別名を『ありの実』ともいい、これは「なし=無し」のイメージを嫌って『あり』にしたというもの。平安時代の「相模集」や「山家集」に出ています。 |
栄養価 |
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ナシは水分を豊富に含む割には糖分が少な目なので、水分補給によいフルーツです。
また、カリウムを含んでいるので利尿作用や解熱作用、やのどの渇き癒す効果もあります。そのほかタンニンという成分はアルコール排泄を促進するので、二日酔いに効果的です。 |