来歴 |
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レモンの原産地はインド北東部のヒマラヤと考えられています。12世紀よりアラビア人によってスペインに伝えられ、十字軍などの手でヨーロッパなどに伝えられました。地中海沿岸地帯が栽培の中心でしたが、コロンブスの時代に新大陸に導入されてアメリカに大産地が形成されます。その後、南米のブラジル・アルゼンチンなどへ伝播し、世界中で広まりました。日本には明治初期に渡来し、瀬戸内、九州地方を中心に栽培されるようになりました。 |
産地 |
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世界的に栽培されていますが、特にアメリカ、イタリア、ブラジル、スペイン、アルゼンチン、ギリシャ、チリ、南アフリカなどで生産が盛ん。
日本国内でも瀬戸内を中心に生産されていますが、基本的に日本の風土には適さず、国内消費の約97%は輸入物です。その量は年間9万トン前後にも及びます。 その内わけは、アメリカが約80%を占め、他に南アフリカ、チリ、オーストラリアなどから輸入しています。アメリカはカリフォルニア州とアリゾナ州が中心であり、そのエリアは大きく3つに分かれ、収穫時期も違っています。
☆アメリカの3大地域(Dはdistrict=地方・地域の略)
D1・・・セントラル・カリフォルニア地区
D2・・・ベンチュラ地区
D3・・・コーチェラ・アリゾナ地区 |
品種 |
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一般の消費者が意識することはほとんどありませんが、レモンにも数多くの品種があります。その中でも主流はユーレカとリスボンです。
●ユーレカ(Eureka)
イタリアから導入した種の実生が起源とされています。世界的に見てレモン生産国の主力品種ですが、耐寒性が弱いという一面があります。
●リスボン(Lisbon)
ポルトガル原産。耐寒、耐熱性に優れた品種です。 ユーレカが太平洋岸に分布するのに対してリスボンは内陸を中心に分布しています。 |
見分け方 |
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色むらがなく、ヘタの部分が枯れていないもの。また、果皮が滑らかでツヤと張りがあり、ずっしりと重量感のあるものを選びましょう。 鮮度が落ちると、黄色い表面が色あせてきます。 |
保存方法 |
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レモンは酸が強いので、冷暗所で放置しても数日間は大丈夫。また、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れれば数週間は保存できます。ある程度買いだめが効くので、切らさないようにしておくとよいでしょう。
レモンは樹上で完熟させると、かえって香気が減るため、多くは緑色のうちに収穫し、貯蔵中に追熟させます。従って、収穫⇒貯蔵⇒輸送⇒消費が数ヶ月間にわたる場合もあります。鮮度はもちろん大事ですが、「フレッシュ=もぎたて」とは限らないということを知っておきましょう。 |
栄養 |
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レモンといえばビタミンCを豊富に含有する代表的存在です。 他の食品の宣伝文句にも必ずといっていいほど「レモン○個分のビタミンC」というふうに引き合いに出されます。
大航海時代、船で旅する船員たちはビタミンC不足による壊血病に苦しめられました。彼らは港でレモンを手に入れ、これを食べることで壊血病を癒したそうです。こうしたことから、レモン=ビタミンCの宝庫というイメージが世界的に広まったようです。
レモンには可食部100g中に平均90mgのビタミンCを含有します。 ビタミンCは血管に付着したコレステロールを溶かし、新陳代謝を活発にする効果があります。 また、あのすっぱい酸味の正体はクエン酸で、疲労回復の効果があります。
香気成分はシトラールとリモネンで、食欲増進に威力を発揮します。 |
ワックスと農薬 |
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農薬への不安感から、紅茶に皮付きのスライスレモンを入れることが嫌われた時期があります。しかしこれは心配ご無用。ほとんどのレモンにはワックスが施されていますが、長年の研究から安全性には全く問題のないものが使用されています。また、農薬検査も港で十分に行われ、合格したものだけが店頭に並びます。万一農薬などが残っていたとしても、さっと水洗いすればそのほとんどが落ちてしまいます。
スライスレモンを入れたときに紅茶に浮かぶ油のようなものは、皮に含まれる精油です。あの精油がさわやかな香気を醸し出しているので、皮をむいてしまうことはむしろレモンティーの香りを台無しにしてしまうのです。 |