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果実の知識

りんご
バラ科リンゴ属
apple(英)
リンゴは4000年も前から栽培されている古い果実で、原産地は中央アジアです。西と東に分かれて伝播し、西、つまりヨーロッパでは原形種とあまり変わらない直径3センチ前後の小さい果実の時代が長く続き、リンゴ酒・リンゴジュースの原料として用いられたといわれています。 品種改良が始まったのは16世紀で、18世紀になってやっと生食できる品種ができました。また、ヨーロッパからアメリカへは初期入植者によって伝えられ、やがて世界中の多くの研究者の努力によって大粒で甘い品種が育成され、現在までに世界中で約1万5000種もの品種が育成されています。 日本にも平安時代に中国から渡来し、鎌倉時代には菓子に加工されて食べられていたようです。ただし、その時代のリンゴは現代のものよりかなり小型だったようです。
日本における本格的なリンゴ栽培は、明治初期に政府の斡旋でアメリカやヨーロッパより導入され、北海道・青森・岩手・秋田・長野などに無償配付されたことに端を発します。それらは年月をかけて日本の風土・嗜好に合うように少しずつ改良が行われました。
このように、現在栽培されているものの大部分は外国品種を改良し日本で育成したものです。日本でもこれまでに約2000もの品種が登場しました。
CA貯蔵
りんごがほぼ1年中おいしく食べられるようになった背景に「CA貯蔵」という冷却保存方法の開発が挙げられます。これは、空気成分を調整することでりんごの呼吸を抑制するもので、長期間に渡り新鮮さを保持することができるようになりました。CAは「Controlled Atmosphere Storage」の略で、酸素濃度を低くし、炭酸ガス濃度を高めることで呼吸作用を調整します。
有袋栽培・無袋栽培
りんごを栽培する過程で、毎年6月・7月頃、まだ生長途中の小さな実1個ずつに袋かけをする作業があります。これは病害虫の被害から守るためと着色を良くするために行われるもので、「有袋(ゆうたい)栽培」と呼ばれます。これに対し、袋をかけないで育てる方法を「無袋(むたい)栽培」といいます。無袋りんごは太陽の光をいっぱいに浴びて育ったために甘さや香りに優れています。
かつては見た目の良さを優先して、有袋栽培が圧倒的に普及しましたが、最近では中身を重視するようになり、無袋栽培の拡大傾向にあります。
店頭に「サンふじ」と書かれたりんごが売られている時があります。「サン」は無袋栽培で作ったりんごにつけられることばです。ふじ以外にも「サンつがる」「サンジョナゴールド」など数多く出回ります。
代表的な品種
●つがる
青森県りんご試験場で育成された品種。
ゴールデン・デリシャスと紅玉の交配種で、昭和50年に種苗登録されました。
紅色に鮮紅色の縞が入っているのが特徴。

●千秋(せんしゅう)
秋田県果樹試験場で育成された品種。
東光とふじの交配種で、昭和55年に種苗登録されました。
やや小ぶりで、淡紅色の果皮に紅色の縞が入り、甘み、酸味ともに強いのが特徴です。

●紅玉(こうぎょく)
アメリカ・ニューヨーク州原産。自然交雑実生。
日本には明治初年に開拓使が導入しました。
加工の適性が高く、生食よりお菓子や料理に利用されることが多い品種です。

●世界一
青森県りんご試験場で育成された品種。
デリシャスとゴールデン・デリシャスの交配種で昭和49年に発表されました。
果実が大きく(平均約500g)食味がよいことから「世界一」と呼ばれるようになりました。

●秋映
長野県で、千秋につがるを交配・育成・選抜して生まれた品種です。平成に入り品種登録された新しい品種です。
シナノスイート、シナノゴールドとともに長野のりんご3兄弟とも呼ばれています。

●シナノスイート
長野県果樹試験場で「ふじ」と「つがる」を両親にして生まれた新しい品種です。
その名のとおり、甘みが強い人気品種です。

●シナノゴールド

長野県果樹試験場においてゴールデンデリシャスに千秋を交配して生まれた品種です。これも平成に入ってからの品種登録で新しい品種になります。ゴールドという名のとおり、果皮は黄色く甘・酸のバランスと取れたりんごです。

●秋星
石川県農業総合研究センターが育成したりんご新品種で平成17年に品種登録されました。10月上旬から収穫できる中生品種で、色づきが良く、果皮色は濃い紅色をしており、「ふじ」と同程度の大玉で、食味は、甘みと酸味のバランスがとれている地元期待のりんごです。


●ジョナゴールド
アメリカ・ニューヨーク州立農業試験場で育成された品種です。
ゴールデン・デリシャスと紅玉の交配種で、日本には昭和45年に秋田県果樹試験場が初導入したのが始まり。
黄色地に紅色が縞状に入り、甘味と酸味が適度に調和した食味と、紅玉に似た風味があります。

●北斗
青森県りんご試験場で育成された品種。
ふじと陸奥の交配種で、昭和58年に種苗登録されました。 北斗七星にちなみ、りんご界の希望の星になるよう期待を込めて「北斗」と命名されました。

●陸奥(むつ) 青森県りんご試験場で育成された品種。
ゴールデン・デリシャスと印度の交配種で、昭和24年に種苗登録されました。陸奥はふじよりも前に育成された品種ですが、普及したのは昭和40年代です。
有袋栽培では紅色、無袋栽培だと黄緑色となる面白い特徴があります。この性質を利用して、「寿」や「祝」の文字を浮かび上がらせるアイディア商品が登場しています。

●王林(おうりん)
福島県の大槻只之助氏により育成。
ゴールデン・デリシャスと印度りんごの交配種で、昭和27年にこの名がつきました。
黄緑色のりんごの代表格。
甘みが強くて酸味は少なめ。果汁が豊富で大変食味の良い品種です。貯蔵性にも優れています。

●ふじ
りんごは昭和30年代後半には全国の生産量が100万トンを越え生産過剰気味となり、昭和38年に大暴落をしました。昭和43年には史上最多の114万トンを記録。買い手がつかないほどにあふれかえったのです。以来、品種の見直しが叫ばれるようになり、産地は売れ筋ではない木を伐採し、品種の淘汰を進めました。
「ふじ」の普及のきっかけはこうした時代の背景がありました。ふじは国光(こっこう)とデリシャスの交配種。農水省果樹試験場盛岡支場で育成された品種です。それまで主流だった国光・紅玉に替わる品種として頭角を現し、また、無袋栽培の主力品種として生産量が増加しました。今では北米・南米でも生産されるまでに広がっています。

クラブリンゴ類 ----------------------------------------------------------------------------------------------
盆栽などで楽しまれている、果実の小さいりんご群は、一括して「クラブリンゴ」と呼ばれています。
●ヒメリンゴ
お祭りなどでよく売られている「りんご飴」によく使われるのがこれ。
※りんご飴の作り方 砂糖5に対して水1の割合で、かきまぜます。色をつけたいときは、食紅を入れましょう。火にかけ、しばらくすると薄茶色になり、湯気が上がります。湯気が煙に変わったところで火を止め、割り箸や串に刺したりんごを絡めます。サラダ油を塗ったお皿の上に置いて冷やせば出来あがり。

●アルプス乙女
松本市の波多腰氏が紅玉の種をまいて育成しました。
ふじと紅玉の混植園で発見された偶発実生。
10月に熟す、味の良い食用のりんごで、家庭果樹や鉢植え、盆栽などに最適です。 大きさはピンポン玉ぐらいのとてもかわいいりんごです。

●ドルゴクラブ
8月のお盆ごろに真っ赤に熟します。果実はわずか30gほど。 鉢植えにすれば観賞用として最高です。
選び方
手にとってみてしっかりとした重さがあって、指で軽くはじいて澄んだ音がするものがよいでしょう。
ツルは太くピシッとしたものを。りんごは木の枝で太陽を浴びるほど成長し、ツルも太くなっていきます。
また、割った時に蜜が出ていれば絶対においしい。完熟したものは早めに食べてください。
色むらやサビが浮き出ていても心配ご無用。味は変わりません。むしろサビが多く肌の荒れているりんごほどおいしいとさえいえます。
保存法
生のリンゴは室温では7~10日くらい持ちますが、温度差に弱い果物なので、できればポリ袋などで密閉して冷蔵庫へ入れておくのが良い方法です。ただし、りんごは野菜や果実の熟成を促すエチレンガスを多量に出しますので、他の野菜・果実と一緒に保存する時には注意が必要です。特にバナナやキウイとは一緒にしないように注意しましょう。
ポリ袋に入れておくことは他の野菜や果実の変質を防ぐことにもつながります。逆に未熟な果物を熟させたい時に利用することもできます。また、ジャガイモの袋にりんごを1個入れておくと、ジャガイモの発芽を防げることも覚えておくと便利です。
栄養価
1日1個のりんごは医者を遠ざける」という諺があるように、りんごは人間の体にとって大変よい効果があると昔から言われています。さらに最近、続々と新しい効用が発見され、以前にも増して注目度が高まっています。毎日1個食べるようにつとめましょう。
1)食物繊維・ペクチンのパワー
ペクチンは切ってもすりおろしても効果は変わりません。また、熱にも強いのでジャムなどの加工品にも威力を発揮します。
●動脈硬化・心臓病・脳卒中予防食物繊維ペクチンが人体の余分なコレステロールを体外へ排出するのを手助けしてくれます。
●糖尿病予防また、ペクチンは血糖値の上昇をおさえる働きもあるため、糖尿病予防にもなります。
●大腸癌予防さらに、ペクチンは腸内の発癌性物質を吸着して体外に排出します。また、ビフィズス菌を増加させ、癌への抵抗力を高める効果も発揮します。
●整腸作用りんごは天然の整腸剤でもあります。ペクチンは、解毒効果が高く、下痢・便秘にも効果があります。すりおろして食べると胃腸の負担を軽くします。赤ちゃんの離乳食にもお勧めです。

2)カリウムのパワー
●高血圧予防血管内の老廃物を取り除く働きをし、若々しい血管を保ちます。体内のナトリウムを排出することで血圧を下げます。これはカリウムの効果です。

3)リンゴ酸のパワー
●胃腸の整酸性胃酸が少ない時には胃酸を増やし、逆に胃酸が多い時には胃酸を中和する働きがあります。
●貧血予防果汁には貧血回復作用があります。これは胃液の分泌を高めることで鉄分の吸収を高めてくれることによります。
また、りんご酸をはじめとする有機酸も貧血の予防に効果があります。
●疲労回復りんごを食べると体内でクエン酸サイクルが始まり、疲れた身体をリフレッシュさせる効果があります。

4)ポリフェノールのパワー
最近発見された事実で、りんごは豊富にポリフェノールを含んでおり、抗酸化作用に非常に効果的な果実であることがわかりました。
りんごに含まれるのはポリフェノールの中のカテキン類「エピカテキン」と呼ばれるもの。活性酸素を排除し、癌、心筋梗塞、動脈硬化を予防するのに力を発揮します。
このポリフェノールは実よりも果皮に多く含まれているので、皮ごと食べると一層効果的であるといえます。

5)美容とダイエットにも
りんごはストレスの原因である自律神経の乱れを調整する働きがあります。ストレスから来る食べすぎを予防するとともに、美しい肌を作るさまざまな物質が含まれ、体内から優しく作用して、太りすぎを予防します。
りんごはカロリー過多の心配がなく、1個食べるとかなりの満腹感を得られますのでダイエットに絶大の威力を発揮します。
りんごの油あがり
りんごが熟するにつれてリノール酸とオレイン酸が増え、皮に含まれるメリシン酸やノナコサンという固形物質を溶かすことにより、りんごの表面が油で塗られたようになることがあります。
この現象を「油あがり」といいます。この物質は不飽和脂肪酸と呼ばれる栄養価の高いもので、害は全くありません。ジョナゴールド・つがる・千秋などに多く見られ、よく熟しており食べごろである証拠でもあります。
りんごの蜜
りんごの葉は光合成をし、ソルビトールという物質を実に送ります。ソルビトールは酵素の働きで果糖に変化し、りんごが甘くなるのです。
りんごには蜜が出るときがありますが、正体はソルビトールがたまって水分を引き寄せたものです。普通、果実の芯と果肉部の境目あたりにある線状の部分に発生し、しだいに果肉部や芯にまで広がっていきます。樹についていた期間が長く、蜜が出来るほどに完熟したことの証でもあるのです。
りんごの皮
りんごは通常、皮をむいて食べることが多いのですが、栄養的には皮にも素晴らしい栄養成分(エピカテキンなど)が含まれているため、できれば皮ごと食べたいものです。しかし、くだものを皮ごと食べるのは農薬が心配と思われる人が多いのも事実。実際どうなのでしょうか?
りんごの表面に白い粉がついていることがありますが、これは「果粉」と呼ばれるもので、りんご自身が出している成分で害のあるものではありません。また、べとべとしているのも「油あがり」ですので大丈夫。
確かに、病害虫の発生を防ぐため栽培過程で農薬の散布が行われますが、消費者が皮ごと食べることを前提に、厳密な計画・計算により使用時期や使用方法を管理しています。
安心して皮ごと食べましょう。
変色を防ぐには
りんごは、皮をむいてしばらくすると茶色く変色してしまいます。これは、リンゴの中にあるクロロゲン酸やカテキン類が、ポリフェノールオキシダーゼという酵素によって酸化されることによって起こる現象です。
変色を防ぐには皮をむいてすぐにうすい塩水につけるか、レモン汁をふります。
塩水の場合は0.1%程度の濃度に約15分間つけるとよいでしょう。塩水は酵素の溶解度が低いため、酸化作用が抑制されるのです。
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